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日韓万華鏡

丸広百貨店

デパートの屋上はほとんど姿を消してしまいましたが、大型遊具が並ぶ最後の大規模な屋上遊園地を残すデパートは川越の丸広百貨店。実際に訪れてみました。

少子化で不採算。東京ディズニーリゾートや巷のゲームセンターの拡大。家庭用ゲーム機の高性能化。施設老朽化によるリニューアル。…そうした理由が重なって、かつてはデパートのシンボルともいえた屋上遊園地が姿を消していった。
今やそれらしきものが見られるのは関東地方ではもはや蒲田東急プラザ、東急百貨店吉祥寺店と埼玉県川越市の丸広百貨店ぐらいになってしまった。その中で大型遊具が多く、昭和40年代の雰囲気が色濃く残っているところは丸広百貨店だという。
そこで最後の大型デパオク遊園地である丸広百貨店に行ってみた。
川越駅と本川越駅に挟まれた商店街に位置する丸広百貨店
東武東上線と西武新宿線は川越市内で斜めに交差し、登場線には川越駅、西武線には本川越駅がある。そして両駅の間を結ぶようにクレアモールという商店街がある。丸広百貨店はその一角、近畿日本ツーリストの斜向かいだ。
川越といえば蔵の街、小江戸と呼ばれる歴史の町だが、クレアモールを越え、更に大正浪漫夢通り越えた北にある。
屋上神社
丸広百貨店屋上遊園地「わんぱくランド」は7階ペットショップに隣接している。ペットショップから外に出ると遊具のないデパートの屋上でも大抵ある商売繁盛を祈願した神社がしっかりあった。デパートは鉄道会社が設置した鉄道系デパートと呉服屋を前身とする呉服屋系デパートの2系統があるが、屋上に神社という発想は呉服屋のものなのだろう。
大型遊具
観覧車
川越丸広百貨店のシンボルともいえる存在がこの屋上観覧車。稼働しているところは首都圏でもここを除くと蒲田東急プラザぐらいしかない。料金は飛行塔やモノレールも同額で一回300円。現在のこの場所に丸広百貨店が誕生したのは1964年のことなので、1998年にリニューアルがあったとはいえ、約半世紀の歴史を持っていることになる。実際に乗れるデパート観覧車なんて全国でも数少ないのだからこれはもう立派な産業遺産なのではないだろうか。
ゴンドラから見える街の景色は蔵の街がある西口ではないのでマンションだらけで東京の衛星都市、池袋や新宿のベッドタウンといった様相を呈しているが、観覧車は展望台としての機能も有していると思う。
こんな景色、ここからしか見られないのだから。
飛行塔
飛行塔は昭和戦前からある飛行機型ゴンドラがグルグル回転するだけの遊具。日本最古のものは奈良県の生駒山上遊園地にある1929年製のものだが、ここのは恐らくデパートの建物が出来た1964年に出来たものなのだろう。ただ回転するだけ?…と思ったら、目の前の操縦桿を上下させるとなんとアップダウンした。ただ同じところを回るだけでなく、降下・上昇を自分で操縦できるのだ。回転しながら一気に上昇すると晴れて青空が広がる日なら大空に吸い込まれそうな気分だ。クルクルと回る川越の街並みも悪くはない。これは見た目より結構面白かった。
モノレール
切符を買ってモノレールの駅の階段に並び、順番待ちをして乗ってみた。テントウムシ型ライド1台が限られた屋上スペースを一周してすぐ戻ってくるだけ。これはちょっとつまらないな…。蒲田東急プラザには東急バス型の足こぎ車「エコライド」があるが、これも足こぎ式モノレールにしてみてはどうだろうか?電気代がかからないだけではなく、自分で操縦できる楽しみも出来ていいと思うのだが…。
その他遊具
ムーバー
観覧車の周りに並ぶムーバーたち
観覧車の足元にはムーバーがいっぱい!クルマにバイクにキティーちゃん、アンパンマンといろいろ揃っている。
デザインや雰囲気から平成時代製造のものばかりのようだ。昔はただウインウインと上下運動するだけのものが多かったのだが…。
車のムーバー
モノレールからクルマのムーバーを眺める。いまどきのムーバーはお母さんが付き添って乗れるように車体は大きめ。昔はギミックというとボタンを押すとブザーが鳴るぐらいだったが、ヘッドライトが点灯したり、ディスプレイと様々なスイッチが付いて、ミニゲームが出来たり、リアクションがかえってきたり、はたまたカードが出てきたり…。
アンパンマンのムーバー
アンパンマンのムーバーはアンパンマン、どきんちゃん、バイキンマンの3体が付いていて、音楽と共に回転。同時に3人遊べるようになっている。小さいメリーゴーランドみたいだ。
トミカのムーバー
昭和時代にはちょっとなかったスタイル。ライドが上下運動ではなく小さな小さなコースを1周するのだ。古いムーバーを見た子供たちに「同じところでウインウインするだけで詰まんない!」と言われたからなのだろう。乗れる大きさのトミカが狭いコースを一周するようになっている。
その他乗り物
豆汽車
小さな汽車もあった。だが、客車はない。機関車に乗り込んでコインを入れると短い線路を周回するだけ。たぶん15フィートゲージ(線路幅381mm)なのだろうから、重油かメチルアルコールを燃やして走る軽便鉄道のタンク機関車にしてもう少しだけ長い距離を客車を引いて走るようにすれば大人も喜ぶのにな。ライブスチームのメーカーとタイアップすれば実現できそうなのに…。
コイン式電動カート
ここの電動カートは小さな広場を回るようになっている。コインを入れて走らせる電動カートでピカチュウ、どきんちゃん、パトカー、消防車の4種類が稼働中。デパートの屋上は少子化が叫ばれて寂れて行くが、一方ではセールスマンやお年寄りの憩いの場にもなっているのだとか。それなら大きいお友達、つまり大人でも乗れるようなカートにして昔を懐かしがる中高年にもアプローチしようよ!…といいたくなる。
エレメカ
モグラたたきゲーム
デパートの屋上遊園地の華は大型遊具だが、もう一つ、ゲーム機を忘れてはいけない。
コンピューターゲームではなく機械仕掛けで動くアナログなゲーム機のことを「エレメカ」という。
このデパートにもそんな「エレメカ」はないのだろうかと探してみたら、片隅でおやつにカールのゲーム機とガシャポンに挟まれてちょっとさびしそうにモグラ叩きゲームがあった。
モグラ叩きゲームは1975年にカトウ製作所が開発し、東洋娯楽機(トーゴ)が売り出したエレメカ。
その第1号は実はトーゴ直営遊園地だった浅草花やしきでデビューしている。
その後2004年にトーゴは経営破綻し、花やしきは経営支援に乗り出したバンダイナムコの手に渡った。
トーゴが最初に売り出したモグラ叩き。同業他社からも類似品が多数販売された。
この機械はトーゴ製なのかも。「浅草花やしき発」の文字が誇らし気だ。