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日韓万華鏡

デパートの屋上遊園地

デパートの屋上は今でこそ単に植木とベンチが置かれた詰まらない空間であることが多いですが、かつてそこに小さなテーマパークがありました。

かつてデパートの屋上は大抵は小型テーマパークともいえる遊園地だった。
デパートの屋上に遊技施設が設置されたのは1903年のこと。
現在は取り壊されてコレド日本橋に改築された東急百貨店日本橋店(当時は日本橋白木屋呉服店)にシーソーや木馬などを設置したのが始まり。
本格的な遊園地が出来たのは1931年。
浅草松屋の「スポーツランド」である。
それを契機にデパート屋上遊園地がひろまり、ピークは1960年代。大型遊具を有する遊園地のほかステージも設けられ、新人歌手のミニコンサートや人気アイドルのサイン会、子供番組のキャラクターショーなどが展開されていた。
1972年5月13日の千日デパート火災を契機に消防法が改正され、デパートの屋上はその面積の半分を災害の際の避難場所とすることが義務付けられたのと、その後のゲームセンターの普及、1983年の東京ディズニーランド開業などが重なりデパートの屋上テーマパークは相次いで閉鎖され、大型遊具を有する本格的なデパート屋上テーマパークは首都圏ではもはや川越の丸広百貨店川越店「わんぱくランド」ぐらいになってしまった。
そんな昭和の貴重なデパート屋上遊園地を振りかえってみよう。
かつて横浜松坂屋屋上にあった神社
デパート屋上遊園地が姿を消した後も大抵残っているのは神社・神殿だ。
デパートの屋上を目を凝らして眺めると多くの場合どこかに小さな神社、神殿が置かれていて、商売繁盛を願った商業の神様がひっそりと祭られているのである。写真のものは2008年10月26日にを最後に閉店、その後解体されてしまった横浜松坂屋にあったデパオク神社である。
カブトムシ型ライド
大型遊具があった頃のデパオクにはミニ列車やゴーカートのほか、このような屋上を周遊するライドが設置されていることがよくあった。カブトムシ型ライドに乗っている子供は幼稚園時代の私だ。古いアルバムから見つけた写真でどこのデパートのものかは何も書かれていなかった。今これ作っても…ウケないだろうな。銃でも取り付けて途中で的に向かって撃つとかそういうゲーム要素が欲しいところだ。
小田急デパートの電動カート
10円入れると動く電動ミニカーとである。1980年代製造のものなら地方の小さな遊園地へいくとみられる。幼稚園児の私が乗ってこんな感じなので、よくある幼児用ペダルカーよりも小ぶりだ。こんな小さなカートだが、ハンドルとアクセルがしっかりついていた。ブレーキはたしかアクセルペダルから足を外すとかかったと思う。
小田急デパートの宇宙船型ムーバー
「ムーバー」などと一般的に呼ばれているが、正しくは「コイン式電動遊具」というようである。お金を入れるとウインウインと上下運動をしたり回転運動をしたりする幼児用の乗り物だ。これは宇宙船型のもので確か小田急百貨店にあったものだったと思う。
当時はこのデザインが未来っぽい乗り物に見えた。
小田急デパートのおとぎ列車
デパートの屋上遊園地には豆汽車と称する小型遊覧鉄道もあった。ゲージは列車の車体幅が大人一人分の感じだったので、恐らくイギリスのロムニー鉄道や修善寺・虹の郷の遊覧鉄道と同じ15フィート(381mm)だろうと思う。
弁慶郷タイプのミニSL列車
弁慶号風のSL(実は電動式)に牽引されている「豆汽車」アルバムには何も記されていなかったが、京王百貨店のものだと思う。背後には射撃ゲームがチラリと見える。大型遊具と並ぶデパートの屋上遊園地のもう一つの華は「エレメカ」と称するこうしたアナログなゲーム機だ。
パトカー型ムーバー
うぅ〜〜!というサイレンの音と共にウインウインと上下するパトカー型ムーバー。4灯ヘッドライトのデザインがどことなく昔のプリンス自動車のグロリアかスカイラインみたいだ。1958年式のシボレーベルエアーにもちょっと似ている。
手こぎ車
昔京王百貨店にあった手こぎ車だ。トランプの王様の模様のついた円筒状のステアリングが椅子の前に屹立してる。そのステアリングの左手の取っ手は握って左へ右へと動かすだけ。そして右側の取っ手はクランクになっていて、そのクランクを回すと車が前進するように出来ていた。
消防車型ムーバー
こちらは1950年代初頭のトヨタ風消防車のムーバー。写真を見た子供たちに「ただ上下するだけなんでしょ?どこが面白いの?」って突っ込まれた。まぁ、確かにサイレン以外にギミックなんてないからなぁ。プレステとかのTVゲームに慣れている今時の子供たちには刺激がなくて退屈かもしれない。
今のムーバーならミニゲームとかカードとか何かプラスαがあるからね。当時を振り返ると色々な形のクルマに乗れるところが楽しかったのかもしれない。
振り子時計型ムーバー
ちょっと変わり種。なんと振り子時計型ムーバーだ。見ていると造形的にかなり面白いデザインだが、乗っている方としては、それほど面白くはなかった気がする。
振り子が左右にゆっさゆっさと振れている間は童謡か何かの音楽がかかっていたと思う。
足こぎのクルマ
新宿の小田急百貨店にて。幼児向けにペダルカーに乗るコーナーが設置されたのだが、そのペダルカーのデザインが1966年式・トヨペット クラウン MS41型っぽい。
カラーリングは3種類ぐらいあって、左のはパトカーバージョン。右の青いクルマはセダン風。それ以外にパトカーの黒色部分が赤色に変更されたタクシー風があったのを覚えている。
おとぎ電話
これはエレメカとしてはちょっと変わっているかもしれない。
電話スタイルになっていて、受話器を持ち上げ、10円を入れると受話器から昔話が聞こえてくるのだ。
真ん中にダミーのダイヤルが付いているが、これが如何にも昭和!という雰囲気を出している。
電話のダイヤルは平成生まれの人たちはどう回していいのか分からないかもしれない。数字のところに指を突っ込んで、必死になって押そうとしたりして…。

内容は赤ずきんちゃんとかヘンゼルとグレーテルとかそういうグリム童話やアンデルセン童話みたいなものばかりで「むか〜〜し、昔のことじゃった!」なんていう日本の民話はなかった思う。

これ、今やるなら、オリジナルのCGアニメが見られるようにしないとウケないだろうな。夏は稲川淳二さんの怪談とかにして。
ただ、お話が流れるだけでなく、最後にミニ映画パンフとかオリジナルブロマイドが出てくるとかね。
現在なら料金は100円ぐらいになってしまうだろうから、パンフやブロマイドぐらいはほしいところだ。
因みに、このおとぎ電話、1回10円だった。