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日韓万華鏡

消防車

私の子供の頃はボンネットのある消防車が普通でした。1970年代後半から徐々にキャブオーバー型が広まって来た時はちょっと違和感を覚えました。

消防車のイメージ






































小学1年生の時に買ってもらったハンカチだが、デザインが渋すぎだろうか?
「じぶた」だけじゃなく、剣道のお面型グリルでおなじみの日野のボンネット車が高圧ポンプ車で、普通のポンプ車が1956~1958年式のいすゞTXだ。
どうやら原画が書かれたのは昭和30年代初頭のようである。
私が子供のときに抱いていた昭和の消防車のイメージがまさにこれだった。

街の消防車
1978年、私が高校生のとき、地元・金沢消防署の前を通って撮ったスナップから…

トヨタFC型ポンプ車
年式は不明だが、1960年代初頭に製造されたものとみられるボンネットタイプの消防車。当時は既にキャブオーバータイプの消防車が普及しており、予備車のような形で最後のお勤めをしていたのだった。ボンネットタイプの消防車と言えば、どちらかというと、いすゞTXの方が主流で、トヨタの消防車は逆に少数派で今にして思えば、貴重なものを撮ったと思う。
トヨタ救急車(1968年式)
1968年式の50系トヨタクラウン(通称・白いクラウン)のライトバンをストレッチして、ハイルーフの専用ボディーを架装したもの。正式には「トヨタ救急車」なのだが、一般的にはクラウン救急車と呼ばれていた。1970年代前半まではこんな風なクラウンバンベースのボンネットがある救急車が一般的だった。
トヨタ博物館の消防車

























トヨタFH24型消防自動車(1959年式)
トヨタ博物館所蔵の消防車はこの1台。トヨタトラック(FH24型)に消防車ボディーを架装した小型ポンプ車で消防団で使われていた。因みに消防署所属の消防車と消防団所属の消防車はフロントグリルのエンブレムで見分けがつく。この消防車のような桜のマークは消防団、雪の結晶と放水銃のノズルを組み合わせた6角形っぽいのが消防署の消防車である。


消防自動車博物館
千葉県夷隅郡御宿町の養鶏場「ファームリゾート鶏卵牧場・御宿農場」の一角にレトロぶーぶ館というコーナーがあり、その奥が消防自動車博物館となっている。ここに保存されているクラシカルな消防車たちは養鶏場の所有物ではなく、元自衛官で消防自動車コレクターの鈴木靖幸氏が収集したものである。
T型フォードポンプ車(1920年式)
消防自動車博物館にはなんと大正時代の消防車が展示されていた。他の消防車は消防関係者が「朱色」と称している明るい赤色なのだが、このT型フォードだけは臙脂色で、見た瞬間消防車らしい感じがしない。しかし、後部にポンプとホースが積んであるので、やはり消防車なんだな…と思わせる異色の存在だ。
V8フォード (1936年式)
カラーブックス「消防自動車」という本にこれとそっくりのV8フォードポンプ車が収録されていたので、ひょっとしたら、同一車両かもしれない。このフォードポンプ車は戦前・戦中の日本ではかなり一般的なものだったようだ。同書によると最高スピードは40km/hぐらいしか出なかったとか。掲載されていたものは佐久市消防団のものだったが、この展示車両も消防団で活躍したもののようだった。

























トヨタKBポンプ車(1943年式)
麹町消防署に配属された新製時の1943年から1963年まで東京消防庁で活躍。その後茨城県の消防団で使用され、1973年に廃車。その廃車体を2009年に発掘し、レストアしたもの。
ウインカーは古いツーマンバスにもみられたカーブに差し掛かると、ネクタイの下部のような形をしたオレンジ色の細長いランプが金井克子「他人の関係」の振りつけのようにパッパパヤッパ!と飛び出るようになっている「アポロ」で消防ホースを積載したホースカーは大八車のような形状。梯子は木製…とレトロ感満載だ。
いすゞTXG20化学車(1968年式)
ミニカーにもなっている御馴染の4灯式ヘッドライトのいすゞTX消防車だが、よくみると車体が妙に長いし、物々しい放水銃が飛び出している。実はこれ、ポンプ車ではなく、水の代りに化学消火剤を発射する油脂火災用の消防車「化学車」なのである。いすゞTXシリーズで1962年以降製造のものはディーゼルエンジン車はTXD、ガソリンエンジン車はTXGとなっている。ボンネットのデザインは1960年代中盤のいすゞBXDボンネットバスと共通。但し、シャーシがボンネットバスの方はフレームが後輪のところは高く、後は低くしてバスの床が高くならないようにしてあるが、消防車のシャーシはトラックシャーシでフレームが真っすぐなはしご状のものとなっている。
トヨタFC100ポンプ車(1968年式)
トヨタの普通消防車(小型消防車ではないもの。小型消防車は2トントラックのシャーシだが、普通消防車は4〜6トントラックのシャーシを用いる)は1964年に上の金沢消防署のFC型ポンプ車のような丸っこいボンネットの者から一転、このような角ばったボンネットに4灯式ヘッドライトのデザインにフルモデルチェンジした。いすゞのボンネット車同様ガソリン車とディーゼル車があり、ガソリン車はFA100、ディーゼル車はDA100を名乗った。左のいすゞTXは1979年まで製造されたが、こちらのトヨタ車は1年早い1978年で製造が終わっている。いずれにせよ1970年代後半ぐらいまでは新車のボンネットタイプ消防車が活躍していたわけだ。




























日産FS680(1965年式)
消防車を収集したコレクターである鈴木靖幸氏が北海道の消防団に大変に珍しい消防車だから、廃車にするときは連絡してほしいと交渉、2年間待ってようやく入手したのだとか。1960年頃の縦目セドを彷彿させる縦デュアルヘッドライトが特徴の日産FS680。実はセドリックよりもこちらの方が登場が1年早い。最初にこのデザインの日産トラックシャーシが登場したのは1959年である。なお、消防車ボディーの架装は森田ポンプ北海道製作所(現:北海道モリタ)だ。


いすゞTD70E改24mはしご車(1972年式)
1960年代から製造されたいすゞの8トントラックシャーシに梯子車のボディーを架装したもの。現役時代は埼玉県の消防署に所属。更新により、廃車処分となり、販売店に持ち込まれたところを鈴木靖幸氏が購入。消防自動車博物館まではアクアラインを自走してやって来たのだとか。
日産FH61 ファイアーパトロール(1980年式)
英国のランドローバーを彷彿とさせる角ばったボンネットとフェンダーが特徴の日産パトロール。このデザインのタイプは1960年から1980年にかけて製造された。博物館に展示されているのはそのモデルチェンジ前の最後のものだ。4WD車ベースのこういうスタイルの消防車は「小型特殊ポンプ車」といい、山間部や雪国で重宝されている。昨今こうしたボンネットタイプの4WD消防車は消防署では見かけなくなってきているが、消防団所属のものだと、今でも時々見ることが出来る。

トヨタクラウンFS45V救急車(1966年式)
正式には「トヨタメトロポリタン型救急車」 というが、クラウンバンをストレッチしてハイルーフの救急車専用ボディーを架装下このスタイルをみんなクラウン救急車と呼んでいた。フロントグリルはTOYOTAのTをデザインしたものだし、ウインカーはフロントバンパー埋め込み式だし、顔立ちはまぎれもなくMS41である。但しエンジンはランドクルーザー用のもの。
私にとってはこれが子供のころからの救急車のイメージ。それだけに1970年代半ばになって1BOX車の救急車が配備されたときは大いに違和感を感じた。
日産FG160サファリ小型ポンプ車(1980年式)
街の消防団で使われていたもの。上のファイアーパトロールをモデルチェンジしたものだ。消防車用のシャーシはシングルキャブ(後部座席の無いタイプ)とダブルキャブ(後部座席のあるもの)が存在している。日産サファリはその大半が輸出用に回っており、中東の砂漠地帯やアフリカなど、道路整備の遅れた地域の輸送や国連、軍隊等での活躍が目立つ。国内では消防のほか、警察やJAF、高速道路会社、一部の4WDファンの人に愛用されている。しかしなんといっても印象深いのは西部警察の特別機動車両だろう。放水銃にカメラ、サーチライト、スライド式屋根とものすごい装備だった。
それに比べると普通の消防団の4WD小型特殊ポンプ車なので迫力では負けるが、渡哲也さんや舘ひろしさんがこの消防車の前で記念写真撮ったら面白いだろうな…とふと思うのであった。