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日韓万華鏡

特急電車&気動車

在来線の特急電車は1958年、気動車は1960年、新幹線は1964年に登場しました。いずれもスマートで洗練されたデザインが当時の子供たちを魅了しました。

ギャラリー

489系
 交直流特急電車485系とほぼ同じスペックの車両ですが、横軽協調装置付きで、末尾の「9」はあさま用189系直流特急形電車、妙高用169系直流急行型電車と揃えてありました。1997年に廃止されてしまいましたが、かつて碓氷峠を越える横川-軽井沢区間には66.7パーミル(1m進んで6.67cm登る)という急勾配がありました。
それまで坂の下の方に補機(坂を登るための補助の機関車)を連結して押し上げるようにして峠を登り、坂を降りるときは補機が先頭に立ってじわじわと下って行っていたのですが、最高8両編成までしか補機は押し上げられなかったんです。
なぜなら、電車であっても、補機を付けたときはモーターを停めそのまま押されるだけだったから。それで181系あさま号は8両編成でした。ときや他の181系の列車が10両〜12両で運行されていたのにそうした制限があったので、食堂車を外し、編成を短くしていたわけです。
それに対し、補機から遠隔操作して押される電車のモーターも動かせるようしちゃえ!ってなったのが、横軽協調装置でした。
これにより、12両編成まで補機につなげられるようになり、特急白山はめでたく食堂車付きになりました。
この急勾配を登る時、補機は列車の一番後に連結されます。白山号の運転士は前方を注視し、信号を確認して補機の機関士に列車無線で伝えるだけ。実際の運転は一番後の補機機関士が行いました。
補機を連結する側の先頭車(クハ)は連結器カバーがなく、げんこつのような自動連結器がむき出しで、引通し線などを連結するジャンパ連結器、解放てこがむき出しでついていて物々しい顔つきになっていました。これが485系との違いでもありました。
   雪の軽井沢を走る特急白山号489系。先頭車両はクハ489-503〜5とみられる。
クハ489-1 スカートにタイフォン(汽笛)が付いているのが特徴。クハ489-2も同じスタイル。実はクハ481-101もデビュー当時はこのスタイルで、後にタイフォンがボンネットのヘッドマークの両側下部に移されている。したがって、485系のページで紹介したクハ481-101は元々はこんな恰好だったというわけ。 クハ489-501 クハ489-1の反対側。碓氷峠で補機であるEF63が連結されるため、専用のむき出しになった自動連結器とジャンパ連結器がスカートに付いていた。クハ489-502もこのスタイル。このスタイルはクハ180と同じであるため、181系廃車後、リバイバルときという記念列車運行時に、クハ180に見立てて走らせていた。
クハ489-5 クハ489-3、4もこのスタイル。タイフォンがボンネットのヘッドマークの両側下部二始めからついていた。ぱっと見はほぼクハ481−100番台と見分けが付かない。 春まだ浅い3月の信越本線御代田付近を走る489系白山。山の雪はだいぶ解けてきたものの線路と道路はまだまだ雪化粧のまま。赤いテールランプで分かるようにこれは走る列車を後から撮影したもの。最後尾はクハ489-3〜5のどれかだ。
3月の信越本線を行く白山。田んぼはまだ雪におおわれている。最後尾はクハ489-3〜5のどれかだ。ヘッドマークが白山でなければ485系と見分けがつかない。 3月の信越本線は脇の田舎道まで雪に覆われていた。撮影している間も雪が靴に入ってきて、実は足指の先が相当かじかんでいたのを覚えている。
ショートノーズタイプが嫌いだった!
このサイトの485系にもこのページにもここまででクハ481-200番台、300番台、クハ489-200番台、300番台、つまりショートノーズタイプの車両が登場していないことを不思議に思われるかもしれない。
実は私、ショートノーズタイプが好きになれず、上野駅などで撮影していてもショートノーズタイプが来るとカメラを引っ込めていたからなのだ。
横軽協調装置があるかないかだけで、クハ481-200番台とクハ489-200番台、クハ481-300番台とクハ489-300番台はほぼ同じである。
200番台は貫通型、300番台は非貫通型と呼ばれている。
200番台は寝台特急電車581系、583系で完成された貫通型の運転台を踏襲している。デザイン的にはまぁ許せるが、運転士の間では隙間風が酷いと評判が良くなかった。
そのため200番台は後に九州方面に転配されている。
一方、300番番台は個人的な感想だがあののっぺりしたデザインがなんともカッコ悪かった。実際、ボンネットタイプの特急が好きな人たちからは不人気で「電気釜」「鼻ぺチャ」とあだ名され、口の悪い鉄道ファンからは上から見たフォルムがまるでドラキュラの棺桶だとまで言われた。
ボンネットタイプの特急のボンネット部分にはサービス電源用の電動発電機が搭載されていたが、それが小型化に成功し、床下に収めることが可能になったため、客室の定員を増やし旅行シーズンに少しでも席を取りやすくしようとしてショートノーズタイプが考えだされたことも勿論分かるのだが、「カッコいいな!アレに乗って旅に出たいな!」というわくわく感が全く感じられないのだ。
韓国には485系をプロトタイプとして1980年に日立製作所で設計と部品を準備し、大宇重工業で組み立てた9900系という電車がいたが、こちらの方がずっとスタイリッシュだった。ショートノーズでデザインが洗練されているといえば、九州方面行きブルートレインを最後まで牽引した機関車として知られるEF66形や新幹線の工事用ディーゼル機関車「新幹線911形ディーゼル機関車」を挙げることが出来る。これらをヒントにもう少しカッコよく作れなかったのかな…。
見る度にそう感じる。
クハ489-200番台 正面に貫通扉が付いているが、隙間風で運転室が寒いのだとか。従って乗務員からは不評だった。 クハ489―300番台 貫通扉を省略しただけだが、どうもこののっぺりしたデザインは好きになれない。鉄道雑誌で初めて見たときはがっかりさせられた。

ショートノーズタイプ車両の名作(よく見るとデザインが何だかみんな似てるけど…)
韓国の9900系電車
ショートノーズながらボンネットタイプの特急を彷彿とさせるスタイリッシュな顔立ちだ。設計と部品は日立製作所
EF66形電気機関車
九州方面ブルートレインを廃止時まで牽引していた電気機関車。日本国内の車両でもこうした例があるのだから、クハ481/489-300番台のデザインをもう少し何とかできたはずだけどな…とつい思ってしまう。
新幹線911形ディーゼル機関車
東海道新幹線の保線工事用ディーゼル機関車。1964年に製造され、1995年に全車廃車。