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日韓万華鏡

マッチボックス

私が幼稚園児の頃はトミカ、なかったのです。1/64スケールのミニカーといえば、当時はイギリスからの輸入品のマッチボックスだけでした。

昭和40年代初頭のの日本では幼児の手のひらサイズで気軽に持って遊べるのはこの「マッチボックス」というブランドだけ。トミカの登場は1970年で1960年代は影も形もなかった。
登場していもないホットウィールは「世界一速いミニカー」というキャッチフレーズだったが、ドラッグレース用のレーシングカーばかりだし、専用コースで走らせるものと相場が決まっていたので、デパートのおもちゃ売り場やおもちゃ屋で売っていて、手で持って遊ぶやつはマッチボックスしかなかった。このマッチボックス、輸入ものだったから、当然日本車はない。アメ車かヨーロッパ車。街中やアメリカのドラマで見かけるクルマもあったが、見たことのないクルマもかなりあった。
日本車はブリキのクルマでなければ、全長10cmぐらいで1/43のちょっと大きめのミニカーのみ。
思えば、アニメも「チキチキマシン猛レース」とか「ドボチョン一家」とかのアメリカ製。音楽も演歌や幼稚園のお遊戯で使うような童謡や唱歌のようなものを除くとアメリカンポップスが全盛。
J-POPはグループサウンズやカレッジフォークといった形で試行錯誤中。
今よりもアメリカやヨーロッパのものが多かった気がする。

シボレー・インパラタクシー
1962年式か1963年式のシボレーインパラ4ドアハードトップである。一応タクシーってことになっているが、日本じゃハードトップのタクシーなんて見かけないなぁ。それに屋根の上に行灯もないし、TAXIの文字がボンネット上になければ、タクシーという感じはしない。
ダッジ・Dシリーズ レッカートラック
BPマークが付いているところがイギリスっぽい。BPとはBritish Petroleum(英国石油)のこと。1961年〜1964年に製造されたダッジDシリーズのレッカー車で、カーズに出てくるレッカー車に比べると10年ぐらい新しい。ダッジDシリーズのピックアップトラックはその後何度かのモデルチェンジの後1980年にダッジ・ラムという名前に変わった。
ジャガー Eタイプ
1961年に登場した英国の高級車「ジャガー」のEタイプ・シリーズ1クーペである。このEタイプにはこのクーペのほか2シーターのオープンカーもあった。トヨタ2000GTはデザインやシャーシの形状などでこのジャガーEタイプの影響を受けたといわれている。
フィアット1500
イタリアのフィアット社が1961年から1967年にかけて製造していた小型セダン。同一デザインだ排気量の異なるフィアット1300もある。実車ではこのほかステーションワゴンバージョンもあった。同型のクルマが「ザスタバ」という名称でユーゴスラビアでも製造された。
フォード・フェアレーン パトカー
1963年式フォードフェアレーン。本当はボンネットと前のドアに右のフォードギャラクシーのようなアメリカ警察マークのシールが貼られていたが、遊び過ぎてはがれおちてしまった。
フォードギャラクシー パトカー
1965年式フォードギャラクシーのパトカーである。縦目ヘッドライトが印象的。1977年式のマツダルーチェレガートも縦目だったが、フォードギャラクシーの影響を受けたものかもしれない。白黒塗りにして「広島県警察」という文字を入れたら案外似合っていたりして。
ランドローバー
現在のランドローバー・ディフェンダーはヘッドライトがフェンダー上にある「離れ目」だが、1970年まで製造されたシリーズ2までは藪に突入したとき、ヘッドライトが木の枝で割れないようにラジエーターグリルの上辺に取り付けられた「寄り目」だった。日本では東北電力のダム建設工事視察用に白洲次郎が輸入させている。
ロンドンバス「ルートマスター」
今では香港のバスと変わらないワンマン車ばかりのロンドンの2階建てバス。実は今でも遺産ルート2系統(9系統と15系統)で日中のみこの型のバスでツーマン運行が続けられている。因みにこのロンドンバス、東京都内でアップスターという会社がパーティーバスとして貸切運行している。2階建てで高さが高いため、運行可能区間が限られているが、団体予約すれば乗車は可能だ。
1968年式マーキュリー・コロニーパーク ステーションワゴン
1965年から1968年に製造された大柄なアメ車ステーションワゴンである。実車はリアゲートが「マジックドアゲート」といって下にたたむだけではなく、横開きドアにもなるという多機能ドアになっていた。しかし、このマーキュリー、本物はタイヤがもうちょい小さくて、窓がもう少し大きく、何だかバランスが悪い。このミニカーは1970年に登場したスーパーファストシリーズでマテル社のホットウィールを模した不出来なモデルだと古くからのファンから不評を買ったという。
オペル・ディプロマット
1964年から1968年にかけて製造されたオペル・カピテーンAである。このカピーテンAは兄弟車としてカピテーン、アドミラル、ディプロマットの3種類が作られ、4ドアセダンと2ドアクーペの2種類の車種が用意された。全長4948mm・全幅1902mmというサイズはアメ車並に大きく、ヨーロッパの道路では走りにくいということで、より小型なレコルトも製造されるようになった。シリーズの中ではアドミラルが最も多く製造されている。
1960年式ポンティアック・ボンネビル コンバーチブル
ポンティアックと言えば有名なのはトランザム。アメリカの特撮アクションドラマ「ナイトライダー」の主役のクルマだが、こちらはそれよりぐっとクラシックな1960年代初頭のアメ車のオープンカーである。平べったくて大きな車体は如何にも'60年代!それ以前の'50年代のアメ車はずんぐりしていたので好対照だ。
ロード・ドラッグスター
こちらも左斜め上のマーキュリー・コロニーパークステーションワゴン同様1970年に登場したスーパーファストシリーズだ。これなどはモロにホットウィールのそっくりさんだ。でも私から見るとどちらかというとアメリカ製アニメ「チキチキマシン猛レース」のキザトトのマシンを彷彿とさせるスタイルだ。
ロールスロイス・ファントムV
1960年代の日本にあっては選ばれたスーパーセレブしか乗れない幻のクルマだった。従ってリアルでは見たことがない。だが、このクルマを印象的にしたのは1960年代のアメリカドラマ「バークに任せろ」だった。若山 弦蔵が吹替えの声優を務めるオネエ言葉の大富豪刑事エイモス・バークの愛車がまさにこのロールスロイスだった。
スチュードベーカー・ラーク ステーションワゴン
スチュードベーカー・ラークは1959年から1966年まで製造されたクルマで、初期のものはフロントグリルがコアラっぽい顔なので、これは1964年〜1966年に製造されたタイプ。スチュードベーカーはピアスアローやパッカードも吸収した名門自動車会社だったが、ビッグスリーとの競争に敗れ、1966年3月16日を最後に自動車製造業から撤退した。
ワーゲンバス・キャンピングカー
レストア車が高値で取引されている人気のワーゲンバスである。ワーゲンバスは正式にはフォルクスワーゲン・タイプ2のT1と呼ばれるモデルで1950年から1967年にかけて製造されたリアエンジン・リアドライブのワンボックス商用車である。ブラジルの工場では1975年まで製造されている。マッチボックスのものはキャンピングカー仕様。中央の観音開きのドアを開けると座席が応接セットのようになっている。
ウイリスジープM38
日本では三菱自工がパジェロが登場するまでライセンス生産していたジープ。プロトタイプは1941年に登場した米軍の小型四輪駆動車である。戦後は本家の米軍や日本の陸上自衛隊、韓国陸軍でも広く採用されたが、堅牢で高性能な4WD車として民間でも広く普及、ジープはクロスカントリーカーの代名詞ともなった。韓国ではこれの白塗りのクルマがパトカー第一号となりソウルの警察博物館で保存されている。
ソウル市警察パトカー1号