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韓国の列車種別



KTX(アルストーム製車両)


韓国鉄道公社の看板列車といえば、最高時速300キロの高速運転を誇るKTXです。 2004年4月1日に産声を上げたKTXにはソウル駅から釜山方面へと向う「京釜高速鉄道」と龍山から木浦、光州方面へと向う「湖南高速鉄道」の2系統が存在します。 車輛を製作したフランス・アルストーム社との契約で2006年3月までの開業から2年間は改修しない契約を結んでいたため、約半数の後向きに着席する座席は不評だったものの改良されないままでした。 しかし、購入時のままの状態で運転する契約が満了したため、2006年12月に韓国鉄道公社は2012年から2016年までの内装更時に回転式座席へ交換を開始すると発表しています。 なんとなくサメっぽいデザインのオリジナルKTXは売店車両がなく、ワゴンによる車内販売だけなので、お弁当を前日に予約するか、駅の売店などで予めお弁当を買いましょう。1号車はかつて映画館になっていて、韓流映画の最新作が上映されていましたが、2014年12月22日に惜しくも廃止されてしまいました。なので、一般室(普通車)の居住性が後述の山川よりやや劣るKTXでは
特室(グリーン車の利用をおすすめします。

KTX−山川

こちらはKTX-山川(サンチョン)。先頭形状が山川魚(サンチョノ)、つまり、ヤマメっぽいデザインだっとことで、命名されました。両端の動力車2両と中間付随客車8両の10両編成で、フランス製のKTXとはことなり、スナックカー(売店車)が連結され、また、普通車の座席が全席進行方向向きで、シートピッチもフランス製KTXが930mmなのに対し、980mmに拡大され、特室(日本で言うグリーン車)の座席も電動リクライニングシートに改良されています。車内が静かな点に加え、韓国国内で独自に開発・製造されたことが自慢になっている車両です。


セマウル号
…KTX登場前の看板特急

KTXが登場するまで韓国を代表する看板列車でした。 KTX開業後はKTXを補完し、ちょうど日本の新幹線こだま号のようにやや小規模なローカル駅にも停車する列車となり、その役割が変化していています。 最近では東大邱から釜山駅へと直接向わず、慶州を経由し、釜山市の第2ターミナルである釜田駅へ向かう列車の方がやや多いです。 セマウル号は鉄道の近代化を目指し、日本車輛と日立製作所から韓国初の冷暖房完備の高性能客車55両を購入、1969年2月10日に「観光号」という名称で運転を開始した列車がルーツとなっています。 この「観光号」その4ヵ月後の6月10日には高性能機関車を導入したことで当初は5時間45分かかっていたソウル−釜山の所要時間を4時間50分に短縮、1974(昭和49)年8月15日に「セマウル号」に列車名が変更されました。 「セマウル」の意味は韓国語で「新しい村」。1970年代の朴正熙大統領政権下で実施された「セマウル運動」を採って命名されました。 室内が広いことに加え、弁当販売とマッサージチェアで定評のあるカフェ客車が連結されています。座席間隔はKTXが930mmなのに対し、セマウル号は1150mm。ボタン一つでせり上がる足乗せ台も付いており、座席の広さが嬉しい列車です。)


ITXセマウル号
…老朽客車と交代する電車

既存のプッシュプルセマウル号と客車はソウルオリンピック前年の1987年から1992年にかけて導入されましたが、これらの車両の老朽化が進み、古いものから順に廃車が進んでいます。その代替車両として2014年5月12日から210000系電動車が導入されました。それがこのITXセマウル号です。KTXが機関車2両で連接客車をはさみこんで走るプッシュプル形式の客車列車でモーターのついた台車が少ないだけに加速はよくありません。そのため、駅間距離の短い区間での高速運転が難しいため、KTXは日本のこだまのような各駅停車の列車を設定できず、補完列車が必要でした。そこで、登場したのが、このITXセマウル号。計画時には「ピチュルロ(世界に通じる道)」なる不思議な韓国固有語をアレンジした名称でしたが、セマウル号の後継車両ということで、「セマウル」の名を残し、前にITXがつく形となりました。6両編成で特室(グリーン車)もカフェ車も用意されず、車内販売サービスは自動販売機のみのモノクラス編成。日本の近距離特急のようです。しかし、座席はKTXよりもややゆったりとし、シートの座り心地はいいです。白・黒・赤というカラーリングが何やら日本の成田エクスプレスを意識しているような配色なのは御愛嬌というところでしょうか。


ムグンファ号…
事実上の座席指定快速列車


ムグンファ号は急行と長距離鈍行の性格を併せ持った座席指定列車です。 以前はムグンファ号の下に統一号とピドゥルギ号という準急や各駅停車の客車列車が存在していました。 しかし、客車の老朽化により相次いで廃止、それに伴い長距離鈍行はムグンファ号に格上げされていったものの全くの各駅停車は設定されず、列車毎に停車駅のパターンを変えて対応する方法が採られました。 そのため急行並みに通過駅の多い列車と鈍行並みに停車駅の多い列車があります。1980年から1999年まで清凉里−東海で特室(グリーン車)・食堂車を連結した電車列車がムグンファ号として活躍した他、釜山近郊を短距離ムグンファ号気動車が走り、客車列車も寝台車、特室、食堂車、売店とラウンジ、子供の遊び場が併設されたスナックカーが連結された列車もありました。 寝台車は寝台料金が高価な上、長時間停車がなく深夜に目的地に着いてしまい不人気、特室はセマウル号と設備的に変わりがない、食堂車は売り上げの伸び悩み、スナックカーは老朽化から次々と姿を消していきました。 現在のムグンファ号は普通車指定席の他、中長距離の列車にはセマウル号同様のカフェ客車が連結されています。鈍行列車を併合していった関係で近年、指定席が意味をなしていないこんな現象が起こっています。 指定券を買って自分の席に行くと先客の姿。「ここは私の席です」と切符を示すと「いっぱい空いているじゃない。好きなところに座れば?」と言われてしまう…。 地方路線を走っている。のんびり車窓を楽しめる…という点でムグンファ号の旅も悪くありません。



ヌリロ
…世界に拓かれた道


2009年6月1日に古いムグンファ号を置き換える形でソウル−新昌に登場した電車特急で、2010年現在、ソウル−新昌に11往復、ソウル−清州−堤川に1往復運転されています。
使用されている電車は通称TECと呼ばれる200000系電車。外観はどことなくJR西日本のサンダーバード、電気系統はJR九州の白いかもめ、車内はJR東日本のフレッシュひたちに似ています。
それもそのはずで、日立製電車のA−トレインというシリーズで、前述の特急電車とは兄弟・親戚関係にあるのです。
編成は4両編成かそれを2つつないだ8両編成ですが、韓国鉄道公社ではさらに増備してムグンファ号と置き換えていく構想を持っています。



トングン列車…近距離鈍行


そのカラーリングから現地の鉄道ファンから「メロンソーダ」というあだ名をつけられてしまった「トングン列車」。 全車座席指定の鈍行気動車ですが、現在は軍事境界線付近の京義線(ムンサン〜都羅山)・京元線(東豆川〜新炭里)でしか見られません。 元々ルーツをたどると鈍行列車の「ピドゥルギ号」の区間運転列車になってしまいますが、整理統合でそれが「統一(トンイル)号」となり、その「統一号」が廃止されるとき、切符の種別をハングルの頭文字で示していた韓国鉄道公社は統一号の「統」の字と同じハングルを使うところから韓国語で「通勤」を意味する「トングン」に改名しました。 「通勤」という名前ですが、実際には通勤路線を走っておらず、しかも終日運行されている点はご愛嬌というところでしょう。


広域電鉄…
地下鉄に乗り入れるJR電車の韓国版


「広域鉄道」とは以前は首都圏電鉄と呼ばれ、韓国鉄道公社の路線の中で、通勤電車が走る区間をいい、韓国の「国電」ともいえる存在です。 どの路線もソウルメトロ、ソウル都市鉄道公社、仁川広域市地下鉄公社とネットワークで結ばれ、運賃も一本化されています。 主な路線としてソウルメトロ1号線に直接つながっている京釜線(ソウル-天安)、京仁線(九老-仁川*京釜線から途中で枝分かれしている)、京元線(逍遥山-回基)、長項線(天安-温陽温泉-新昌、京釜高速線(衿川区庁-光明*京釜線の支線)、餅店基地線(餅店-西東灘*京釜線の支線)、3号線系統の一山線(紙紐-大化)、4号線系統の果川線(南泰嶺-衿井)、安山線(衿井-烏耳島)、その他京元線(龍山-清凉里(地上)-回基)、中央線(回基-龍門)、盆唐線(宣陵-宝亭)といった路線があります。 地下鉄なので旅情とは程遠いですが、ソウルとその周辺を観光する場合には欠かせない路線です。 1974(昭和49)年8月15日に城北−水原/仁川間で開業したのがこの「広域電鉄」のルーツ。1970(昭和45)年3月31日に日本赤軍が起こしたよど号ハイジャック事件で韓国政府が解決に協力、そのお礼として日本が全面的に技術提供をして出来上がったのがこの路線でした。 同じ韓国鉄道公社の路線ながら、ムグンファ号やトングン列車に乗り換える場合は一度改札を出て切符を買いなおさなくてはならず、初乗り料金も乗換の度にかかってしまいます。


ITX-青春
…韓国初の本格派リゾート特急


2012年2月28日より京春線・中央線・京元線で運行を開始したリゾート特急。「ITX」とはIntercity Train eXpressから命名、「青春」は青春と清凉里の「清」(青と清は韓国語で発音が一緒!)、春川の「春」をかけ言葉にしていて、清凉里と春川を結ぶ若者のリゾート列車といったニュアンス。8両編成で、4・5号車が2階建て。全席一般室(普通車)指定席で2階建て車両もほかの6両も座席は全部同じ。


海列車
…走るテーマパーク


「パダヨチャ(海列車)」は韓国江原道の江陵(カンヌン)駅から三陟(サチョク)駅まで、韓半島の東海岸を走る3両編成のこの列車。 車内にDJ(列車乗務員3人のうち1人が車内のDJ担当)がいて、リクエスト募集の紙が回ってくるし、ビンゴなどのイベントもやっているし、沿線の観光案内もしてくれるし、シートは高速バスの座席を転用し、全席海向けに並べてしまっていて、とにかく、観光列車に徹しきっています。 列車というよりアトラクションに近い感じ。世界一海に近い駅「正東津駅」にも停まるし、アベックのためにプロポーズ室なんていうのもあるし遊び心満載の列車です。

過去の列車


統一号
…高速バスより安い庶民派列車


1983(昭和58)年12月23日のダイヤ改正で統一(トンイ)号と命名され、それ以前は「特急」と呼ばれていました。 一部気動車列車もありましたが大半は客車列車で、普通車は背もたれを前後に動かして進行方向にセットできる2人掛けの座席、特室(グリーン車)はリクライニングシートで昔の日本の急行・準急とほぼ同じ設備だったため、ガイドブックでは「急行」「準急」と良く紹介されていました。 客車の色はデビュー当時の東北新幹線に似たアイボリー地に草緑のライン。しかし、晩年は黄色い縁取りの付いた紺の帯に変わっていました。 運賃が高速バスより割安*だったところから書類をカバンから取り出して気難しい顔で目を通すビジネスマンをあまり見かけず、長距離の汽車旅を楽しもうとする大学生やバックパッカーたちから愛され、隣席の人とミカンやお菓子をやり取りする光景が珍しくなく、実にのどかな雰囲気の庶民派列車で、長距離の列車には寝台車まで連結されていました。 全席座席指定制だったため、旧暦の正月や秋夕(仲秋の名月の日に行う韓国式のお盆)といった帰省シーズンは通路やデッキが人であふれていたものであります。 1990年代後半から2000年までに後述の鈍行「ピドゥルギ号」客車の老朽化からこの「統一号」への格上げが進み、「統一号」の役割は鈍行列車へと変貌。そしてKTXが開業した2004(平成16)年4月1日に中・長距離列車はムグンファ号に、近距離列車はトングン列車に転換し、姿を消しました。 今では義王にある鉄道博物館の展示客車でしか見ることができません。
(写真は左から統一号の編成、統一号の特室(グリーン車に相当)、統一号の一般室(普通車)



ピドゥギ号
…旧型客車の鈍行列車

ピドゥルギ号は昔の鈍行列車で、最後は江原道の旌善線のみでの運行となり、2000年11月14日付けで廃止されました。 日本統治時代の軽量客車と同一デザインで6.25動乱(朝鮮戦争)停戦以降に製造された客車、1960年代後半に日本の川崎重工や日本車両で製造された気動車で構成されていましたが、いずれにせよオンボロ車のオンパレード! その昔は清凉里-釜田という長距離のピドゥルギ号もあり、ローカル線ファンには人気がありました。 (写真は上がかつての京義線でソウル駅とムンサンを結んでいた客車列車。下がその室内。ボックス席で日本の旧型客車を彷彿とさせる客車と中がロングシート(長椅子)になっているタイプの二通りがあった。


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